施設(有料老人ホーム)の居室は狭いから、持ち込みテレビのサイズはできるだけ小さい方がよい。
と、このように思われていませんか?
いいえ、テレビのサイズは最低でも32V型(32インチ)以上の大型がよいです。
機能訓練指導員として3つの施設(主に有料老人ホーム)で15年間働いていました。
長く働いていると入居者様のリハビリ以外の日常生活にも多くの場面で深く関わってきます。
そのためなのか、リハビリだけでなく施設生活についてのアドバイスを入居者様やご家族様から求められることも多かったです。
この記事を読んで、ぜひホームに持ち込みテレビは32V型以上にすることを検討してください。
おすすめテレビは大型
おすすめテレビは大型です。
ここでは32V型以上のテレビを大型といいますが、一般家庭では大きな画面ではありません。
ですが施設などの狭い居室では、19V型が主流なのでまだ32V型以上は大型とみられています。
テレビは年々薄くなって狭い部屋でも邪魔にならなくなりました。
有料老人ホームの居室より狭いホテルのシングルでも32V型以上を設置しています。
狭いと思う部屋でも意外と32V型は大きくないのです。
慣れてしまえば、43V型でも決して大きくありませんよ。
大型テレビを勧める理由
画面の大きいテレビの方がQOLが向上する
QOL(Quality of Life)という言葉をご存じですか?
「人生の質」、「生活の質」などと訳されることが多く、私たちが生きる上での満足度をあらわす指標のひとつです。
そして、高齢者施設では入居者のQOLの向上に努めることが指標のひとつなのです。
大きいテレビの方がQOLが向上しますよ。
考えてみると、入居者が居室で過ごす時間の多くがテレビの視聴時間です。
その時間をできるだけ満足して過ごせるよう努めることが大切です。
- テレビの番組や映画などを観て過ごすとき、大きな画面で見るのと、小さな画面で見るのではどちらが、番組を楽しめるでしょうか?
- 出演者の顔表情、口の動きなど、風景の様子など、大きな画面で見るのと、小さな画面で見るのではどちらがより刺激的でしょうか?
- 番組の多くにテロップなど文字が多く表示されます。大きな画面で読むのと、小さな画面で読むのではどちらが疲れないでしょうか?
より大きな画面で、より楽しめて、より刺激的で、より疲れないのなら、これはQOLの向上です。
逆に高齢者にとって小さな画面を長時間見続けることは、苦痛になります。
最近の高齢者が大きな画面を好むのは、大きい画面の方が疲れないからです。
32V型(32インチ)は大きくない
有料老人ホームの居室の広さをご存じですか?
設置基準の13㎡(約8畳)が最低ラインで、広いところでは25㎡(約16畳)以上のところもあります。平均は18㎡です。
参考までに、ホテルのシングルが平均で13~15㎡、ワンルームマンションが20㎡前後です。
次の図は15㎡(約9畳)の居室の標準的な間取りです。
有料老人ホームでは、狭い15㎡の居室でも枕からテレビまでの距離が1.5m取れます。
たいていの入居者様はベッドに横になってテレビをご覧になります。
メーカーが出している快適にテレビを観るための視聴距離表によると、32インチで約1.2m、43インチで約1.6mを勧めています。
テレビまでの距離1.6mは、15㎡の部屋でも簡単に取れます。
つまり43インチ(43V型)でも問題ないのです。
サイズ (インチ) | フルハイビジョン テレビの 視聴距離 | 4K テレビの 視聴距離 |
---|---|---|
32 | 約1.2m | 約0.6m |
40 | 約1.5m | 約0.7m |
43 | 約1.6m | 約0.8m |
50 | 約1.9m | 約0.93m |
視聴距離は余裕をもってフルハイビジョンの距離で見ておくのが安心です。
テレビは貴重な情報源
機能訓練指導員は、各居室で個別の機能訓練やリハビリを実施します。
もちろん、入居者との会話が始まりますが、なるべく相手に話題を提供してもらうよう心掛けています。
この際、気づくことがあります。
話題のネタの多くがテレビから得られるという点です。
これは非常に重要で、機能訓練において新しい情報の受け渡しと発信は極めて重要な要素です。
このケースでは、入居者主体の会話が発信(アウトプット)であり、その背後にある情報源がテレビ番組(インプット)です。
施設で不足しがちな情報のインプットをテレビを通じて補完できているわけです。
ただし、重要なのは単にテレビを視聴するのではなく、興味を持ちながら理解しながら鑑賞することです。
新しい情報に興味を持たない入居者は、通常、自身の過去のエピソードを延々と繰り返す傾向があります。
高齢者の皆様、新しい情報に対しての意欲を失わないで!
積極的にテレビからの情報でお話しをなさる入居者様は、画面が大きいテレビ(32インチ以上)で視聴されていました。
おすすめの大型テレビ
なぜ私が大きな画面を勧めるかご理解いただけたと思います。
テレビのサイズは実際に居室を見て決めるのが一番良いのですが、32V型(32インチ)は大きくないことを念頭に置いてください。
参考までに、次の表はテレビの画面のサイズ(高さと幅)です。
近年のテレビは、"テレビサイズ=画面サイズ"でお考え下さい。
V型(インチ) | 高さ(cm) | 幅(cm) |
---|---|---|
24V型 | 30 | 53 |
32V型 | 40 | 71 |
40V型 | 50 | 89 |
43V型 | 54 | 95 |
以下はお勧めのテレビです。
コストパフォーマンスを重視していますが、評価は高く信頼のあるものです。
常に人気No1.の東芝のレグザは安心してお勧めできます。
現在価格(2023年10月)で3万円前後のコストパフォーマンスは驚き↓です。
また、リモコンの文字が大きいのも高齢者にはやさしいです。
※Amazonでは売り切れが多いので、楽天市場かYahoo!ショッピングもおすすめします。
Netflix (ネットフリックス) などネット動画を観たいのでしたら、次の商品(32V34)↓を検討してください。32型で32S24の上位機種です。
もし居室をみてもっと大きくても大丈夫と思えたら、もう約8,000円プラスして、40V型↓にしましょう。
5万円代になりますが、コストパフォーマンスはよいです。4K対応でネット動画も観れます。
今後のことを考えると一番のお勧めなのですが、施設の居室ではこれ以上のサイズは大き過ぎて無理と思われる人が多かったです。
慣れると普通ですけどね。
とにかく、テレビは楽しめることが第一です。
小さい画面はやめましょう。
おわりに
私の勤めていた施設は有料老人ホームでした。
利用者の方々が入居される際には、最低限の家具とテレビが備えられていましたが、そのテレビのサイズは19インチでした。
特別養護老人ホームや病院などの2人部屋や4人部屋など、カーテンで仕切った多床室では、19インチ以下のテレビに制限があるようです。
おそらく、スペースの制約や隣の入居者への配慮からくるものでしょう。
その影響もあるのでしょうか?
どの施設も標準設置のテレビは19インチ以下ばかりでした。
最初からテレビが備えられていると、そのまま使い続けることが一般的です。
率直に言って、個室に19インチ以下のテレビが標準だと、少し物足りなさを感じませんか?
できるだけ画面サイズの大きなテレビで、快適な時間をお過ごしいただければと思います。
それではまた、
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