介護スタッフに負担の少ないレクレーション
介護施設で毎日行うレクレーションで、参加者が満足できて、介護スタッフの負担が少ないレクレーションには、どんなものがあるでしょう?
私は機能訓練指導員として、3つの介護施設(主に有料老人ホーム)で15年間働いていました。
どの介護施設でも昼食後の休憩の後に、介護スタッフが入居者様に簡単なレクレーションを提供していました。
入居者様が、居室だけの生活にならないように、できるだけ施設での生活を楽しめるように行う施設サービスの一つです。
ですが介護スタッフは、実際の話しこの時間帯も各居室の介護作業でものすごく忙しいです。
生活相談員や時間が取れたら私も手伝うのですが、それでも毎日は対応できません。
結果、介護スタッフに負担の少ないレクレーションを用意することは、必要不可欠なことでした。
そのために、おすすめしたいレクレーションが3つあります。
- 写経
- 塗り絵
- 算数ドリル
これらのレクレーションの特徴は、参加者に満足感があって、介護スタッフは見守りだけで良いことです。
今回は、写経についての説明させていただきます。
写経について
写経をご存じですか?
写経とは、般若心経などの仏教のお経を、1文字1文字丁寧に書き写す作業のことです。
書道とは異なり、上手な字を書くことが目的ではないため、だれでも気軽に行えます。
276文字を丁寧に書き写すのですから、完成までに1~2時間かかります。
また、完成した写経をお寺に奉納することができます。
写経がレクレーションによい理由
- 簡単に始められる
- 一人ひとりが行うレクレーションなので、参加人数が自由
- 頭と手の機能訓練
- 集中力が養える、心が落ち着く
- 達成感がある
- 目標が持てて、持続できる
- 見守りが容易
簡単に始められる
必要なものは、筆ペンと写経用紙で簡単に用意できます。
場所を選びません。書き物をするスペースだけです。
書き物をするだけですから、ほとんどの高齢者で行えます。
一人ひとりが行うレクレーションなので、参加人数が自由
写経は一人で行います。介護スタッフのサポートが必要ありません。
だから場所だけ確保できれば、参加人数はいくらでも増やせます
参加人数が増えても、道具を用意するだけでスタッフの負担は増えません。
頭と手の機能訓練
このレクレーションは、身体を多く動かす運動にはなりませんが、日常生活動作の手と指を思い通りに細かく動かす機能訓練です。また、頭の体操でもあります。
集中力が養える、心が落ち着く
1時間以上作業に集中するため、集中力が養えます。
また写経は、心を落ち着かせる作業でもあります。
達成感がある
写経は最初は難しいと思って遠慮する人でも、いざ始めてみるとほとんどの人が熱心に続けられます。
お手本をなぞりながら書き写すため、自分が思ったより簡単に字がうまく書けます。
そのため初心者でもモチベーションが下がりません。
1~2時間で完成するので、毎回達成感を味わえます。
レクレーションとはいえ、写経はとてもありがたい作業です。必ずプラスαな充実感があります。
目標が持て、持続できる
目的が持てます。例えば、写経を100枚書くこと、もっと上手に書くことなどです。
また、書いた写経をお寺に奉納するという目的も持てます。
長く続けると写経が趣味になる人もいます。
見守りが容易
皆静かに座って行うレクレーションなので、見守りが容易です。
私が見守りの時は、書類業務が行えました。
これはありがたいです。
写経に必要な道具を準備する
写経に最低必要な道具は、筆ペンと写経用紙です。
写経用紙には、2つのタイプがあります。
- 写経用紙 なぞり書き
写経用紙に薄くお経の文字が刷ってあり、それをなぞって写経をするタイプ - 写経用紙 お手本付き
無地の写経用紙をお手本のお経に被せて、透けて見えるお経の文字をなぞって写経をするタイプ
用紙にお経が刷ってある方(写経用紙 なぞり書き)が、初心者には簡単です。
実際に写経を行うために必要な道具の3点を紹介します。
- 筆ペン(カートリッジ交換タイプ)
- 写経用紙
- 文鎮(特に無地の写経用紙を使うときに必要)
●筆ペン(カートリッジ交換タイプ)
最初は100均で買っていましたが、2,3回の写経ですぐインクがなくなります。人数分をかなりの頻度で買いに行くのは大変でした。
ネットからの購入で、インク交換のカートリッジが使えるものに替えて楽になりました。結局この方が100均より安上がりです。
初心者には、筆ペンのぺんてる筆(中字)をお勧めします。
結構な頻度でのカートリッジ交換になりますので、お得なセットをお勧めします。
●写経用紙 なぞり書き
半紙に薄くお経が刷ってあるなぞり書きタイプです。初心者にはこのタイプが簡単ですが、出来上がりは、お経が刷っていない写経用紙の方を喜ばれていました。
初心者にやさしいA3サイズです。
●写経用紙 お手本付き
これも最初は100均で買っていましたが、すぐになくなって買い足しが大変なので、これもネット購入にしました。
写経用紙にお経が刷っていないので、付いてくるお手本を透かして写経をします。
このタイプには文鎮が必要です。
初心者にやさしいA3サイズです。
●文鎮(ぶんちん)
文鎮は最初に半紙を伸ばすときや席を離れるときにもあると助かります。
100均でも買えます。
写経をレクレーションで行う
スタッフは、参加者の席に筆ペンと写経用紙を準備します。
始まりの挨拶は大切
準備ができたら、初めにこのレクレーションの説明をすると、より効果的です。
例えば、
「皆様、これから写経を始めます。
皆様がこれから書かれるお経は、般若心経(はんにゃしんきょう)です。
これは、お釈迦様のとてもとてもありがたいお言葉をたったの276文字にまとめたお経です。
とてもありがたい一文字一文字に皆様の感謝の気持ちを込めて書いていきましょう。」
などなど、何か口上を述べますと、場が引き締まります。
最初が肝心です。
場が引き締まれば、それだけ静かに集中されます。
スタッフも介護記録に集中できます。
終わりの挨拶も大切
レクレーション終了の時間になったら、終わりの挨拶をしましょう。次回のやる気につながります。
例えば、
「皆様、本日の写経はお終いです。お疲れさまでした。
きっと今日の御勤めを通して、とても素晴らしい功徳を積めたことでしょう。
今の落ち着いた気持ちを大切に今日をお過ごしください。」
介護スタッフの皆様もお疲れさまでした。
まとめ
この記事で写経がレクレーションのひとつとして、優れていることを説明させていただきました。
特に次の3点は、毎日のレクレーションに加えるための必須の条件です。
- 簡単に始められる
- 一人ひとりが行うレクレーションなので、参加人数が自由
- 見守りが容易
写経は、安心、安全、静か、毎日でも飽きない、そしてスタッフの負担が少ない数少ないレクレーションのひとつです。
ぜひお試しください。
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