『認知症の発症リスクが76%減少する』
この驚くべき数字が、ダンスの効果を示していることをご存知ですか?
実はこれ、アメリカの権威ある医学雑誌『New England Journal of Medicine』で発表された研究結果なんです。20年以上前の研究ですが、今なお専門家が引用するほど、余暇活動と認知症予防の関係を示した画期的な内容でした。
Verghese et al., New England Journal of Medicine, 2003
「Leisure Activities and the Risk of Dementia in the Elderly」
(高齢者における余暇活動と認知症リスク)
この記事を読んだことで、私も「将来の健康のために、ダンスは非常に有効だ」と確信するようになりました。
🫢ダンスで『認知症の発症リスクが76%減少する』
今回は、その驚くべき研究結果を踏まえ、なぜダンスが脳に良いのかを分かりやすく解説したいと思います。
🧓 年齢と共に気になる「認知症」、何が予防に効くの?
年齢を重ねると、物忘れが増えたり、「もしかして認知症?」と不安になったりすることがあるかもしれません。
では、認知症を予防するために、私たちは日常生活で何ができるのでしょうか。
そのヒントの一つとなるのが、冒頭でご紹介した研究です。
アメリカ地域在住の75歳以上の高齢者469人を最大21年間にわたって追跡調査したこの研究では、特定の余暇活動が認知症のリスクを大幅に下げることが明らかになりました。
🧠 認知症リスクを下げた「頭を使う活動」とは?
研究で特に高い効果が示されたのは、以下の活動でした。
例えば、週に数回ダンスをする人は、ほとんどしない人に比べて認知症になるリスクが76%も低かったのです。これは驚異的な数字と言えるでしょう。
🏃♂️「ただの運動」だけでは不十分?
「体を動かすことが大事」とよく言われますが、この研究では少し意外な結果が出ています。
ウォーキングやサイクリング、水泳といった一般的な運動や、家事などの日常的な身体活動では、認知症リスクを下げる明確な効果は確認されませんでした。
もちろん、これらの運動が健康に良いことに変わりはありません。
しかし、認知症予防という観点での運動では、ダンスのように「頭と体の両方を同時に使う活動」が特に重要であることが示唆されたのです。
🕺どんなダンスが頭に良いのか?
では、具体的にどのようなダンスが効果的なのでしょうか?ヒップホップ?バレエ?それとも盆踊り?まさかブレイクダンス?
この疑問に答えてくれるのが、スタンフォード大学の公式サイト内に掲載された記事『Use It or Lose It: Dancing Makes You Smarter, Longer.』(使わなければ衰える:ダンスはあなたを賢くする)です。
この記事によると、研究対象の高齢者たちが主に踊っていたのは、フリースタイルの社交ダンス(フォックストロット、ワルツ、スイングなど)だったと推測されています。
ポイントはフリースタイル >>「即興性」です。
現在人気のズンバなどは、インストラクターの動きを瞬時に見て模倣することが求められ、とっさの判断力や動きへの適応力が必要となります。これは即興性とは言い難いですが、記憶力、注意力、判断力、実行機能といった複数の認知機能を同時に使う「デュアルタスク」の要素が強いとして注目を集めています。
👁️脳科学の視点:なぜ即興ダンスが脳を鍛えるのか?
スタンフォード大学の記事は、「知性とは、次に何をすべきか分からない状況で使う能力である」と述べています。つまり、決まった手順を思い出すだけの作業では、脳は十分に鍛えられないのです。
社交ダンスのように、その場で瞬時に判断し、動きを組み立てていく作業こそが、脳にとって最高のトレーニングになります。
☝🏻 ダンスが「頭の体操」になる理由
- ⚡瞬時の判断が連続するから
- 次のステップをすばやく考える
- 音楽のリズムやテンポに合わせる
- パートナー(あるいはインストラクター)の動きに合わせる
- 💫「完璧」ではなく「選択」を繰り返すから
決められた振り付けを完璧に再現するダンスも素晴らしいですが、脳を活性化させるのは、「次はどう動こうか?」とその場で選択を繰り返す即興的なダンスです。
これにより、脳内に新しい神経回路が次々と作られ、認知機能の維持・向上につながると考えられています。
📄 まとめ:将来のために、今日からできる「頭の体操」を始めよう
今回ご紹介したのは観察研究の結果であり、認知症に対する臨床試験ではありません。「ダンスをすれば認知症にならない」と断定するものではないことをご理解ください。
しかし、読書やゲーム、楽器、そしてダンスといった楽しみながら頭を使う習慣が、私たちの未来の健康を守ることにつながるというのは、非常に希望の持てるメッセージではないでしょうか。
認知症予防は、何か特別なことを始める必要はありません。日々の生活の中に、小さな楽しみを積み重ねていくことが大切だと、今回ご紹介したこのレポートは私に教えてくれました。
- 📖 毎日少しだけ本を読む
- 🧩 家族や友人とボードゲームで遊ぶ
- 🎼 昔好きだった楽器に再チャレンジしてみる
- 🕺 音楽に合わせて体を動かすダンスやズンバに参加してみる
無理なく、楽しく、あなたに合った「頭の体操」を見つけて、健やかな毎日を送りましょう。
🙂↕️おわりに
この記事は、3年前に下書きとして保存していたものです。当時、ダンスが認知症に76%の効果があるという権威あるレポートの紹介でしたが、私自身がまだその内容を十分に実感できていなかったため、投稿を保留していました。しかし、今回改めてGoogle翻訳を使ってそのレポートを読み返したところ、やはり皆に知っていただきたい研究レポートであると確信し、投稿することにいたしました。
以前、私は機能訓練指導員として長らく高齢者施設で働いていました。当時は、入居者の方々の身体機能回復訓練(あるいは低下予防)を業務として、日に多くの方々の個別訓練を行っていました。
一人あたり10~20分程度の訓練でしたが、重度の方を優先していたため、一日の大半は、可動域訓練という他動的な拘縮予防・改善の訓練が主となりました。時間の有効利用のため介護度の低い方には集団訓練として体操を一緒に行っていただきました。
しかし、そういった訓練プログラムが必要とされる方々は、もともと訓練に前向きでない傾向がありました。不思議なもので訓練が必要と思われる方ほど、積極的に訓練に取り組んでくれないのです。
訓練拒否が多く、あの手この手で説得し、訓練を受けていただくまでに多くの時間を要しました。
逆に、本来身体機能が維持できている方は、日常生活においてもできるだけご自身で積極的に行動され、訓練にも意欲的に取り組んでくださいました。
正直に申し上げて、ご本人が体を使うことに対して嫌悪感をお持ちの場合、訓練の効果は現れにくいものです。
それに比べて、自発的な訓練はご本人の意志と重なるため、効果的でした。この傾向は、積極性において認知症予防の訓練(いわゆる脳トレ)にも見られました。
このような経験から、私は介護予防や認知症予防を、他人からのアドバイスや指導を必要とする特別なことだと難しく捉えるべきではないと考えています。
むしろ、体と頭を楽しく使う方法をできるだけ早く自ら見つけ、それを日頃から実践する生活を送ることが大切です。
理想は無意識のうちに楽しい生活を送ることですが、意識的に体と頭を楽しく使う時間を作ることをお勧めします。
当たり前のことですが、予防は必要となってからでは遅いのです。できるだけ早く取り組むことで、介護予防も認知症予防も、その効果は累積的に高まり、より大きな効果を生むのではないかと私は強く考えています。
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