VR(メタクエスト)を使った視力回復トレーニングをご存知ですか?
近視の原因の環境的要因は、
- 近距離作業を長時間行うこと(PC作業、読書、ゲーム、スマホなど)
- 屋外活動が少ないこと(遠くの景色などを見ない)
これらの環境的要因が、眼軸長(眼球の奥行き)が長くなることを促進し、近視になる原因の一つと考えられています。
視力回復トレーニングは、この眼軸長の伸長を抑制し、近視の進行を食い止め改善することを目的としています。
具体的には、近くのものを見続けることで凝り固まった眼の筋肉を鍛え、目の柔軟性を高めることで、ピント合わせ能力を向上させる効果が期待できます。
そこで今回は、VR視力回復トレーニングを行えるメタクエスト用アプリ「FREE MY SIGHT」について紹介します。
VRで視力回復トレーニング
従来の視力回復トレーニング機器は、遠方の景色を見せるために大きな装置が必要であり、医療機器として驚くほど高額なため、一般家庭での利用は現実的ではありませんでした。
しかし、VR技術を用いた視力回復トレーニングであれば、解像度の問題は残るものの、手軽に遠方の景色を見ることができます。 これにより、自由度の高い視力回復トレーニングを、家庭で手頃な価格で実現できるようになります。
視力回復トレーニングとは
近視治療目的で使用される眼科や視力回復センターの機器の中には、双眼鏡のような覗き窓から箱の中を覗き、表示される画像を見続けるものがあります。
これは厳密には視力回復のための治療機器ではなく、視力回復のための眼の筋肉トレーニング機器と考えるべきです。
この機器は、眼の筋肉を鍛えることで、視力回復効果を期待するものです。
視力回復トレーニングとは、眼の筋肉を鍛えることで視力の回復を目指す方法です。
特に、疲れ目や眼精疲労にお悩みの方におすすめのトレーニングです。
ものを見るためには、毛様体筋と外眼筋という2つの筋肉が重要な役割を果たします。毛様体筋は水晶体を調節することでピントを合わせ、外眼筋は眼球を支え、動かす際に使われます。これらの筋肉を意図的に動かすことで緊張をほぐし、ピントが正しく合うようにするのが、視力回復トレーニングの目的です。
毛様体筋を鍛える主な方法としては、遠近体操法と遠方凝視法の2つがあります。
遠近体操法は、遠くを見ることと近くを見ることを交互に行うことで、毛様体筋の緊張と弛緩を促します。
遠方凝視法は、遠くの一点をじっと見つめることで、毛様体筋を集中させる効果があります。
また、マジカルアイと呼ばれる立体視トレーニングも、毛様体筋を鍛える効果が期待できます。
一方、外眼筋を鍛える方法としては、視点移動法が代表的です。視点移動法は、いくつかの点を定めて視線を移動させることで、外眼筋の様々な動きを鍛えます。
FREE MY SIGHT
「FREE MY SIGHT」をWebサイトのMeta Storeか、モバイルアプリの「Meta Quest」「Meta Horizon」からインストールしてください。
Meta Store:FREE MY SIGHT
※このアプリはApp Labに配信されているため、メタクエスト本体のストアアプリからの検索では見つけることができません。
そこでまず、Web上のMeta Store(meta.com)からか、もしくはモバイルアプリの「Meta Quest」「Meta Horizon」からインストール(登録)となります。
その後、実際のインストールをメタクエスト本体から行います。
App Labのアプリですが有料アプリです。価格は、190円でした。
インストール後、アプリを開きます。単調なBGMとともに次の説明画面が表示されています。
FREE MY SIGHT
心を落ち着かせて、目をリラックスさせましょう。
物体を追ったり、遠近の文字を読んだり、目を寄せたりするなど、眼の筋肉を伸ばすエクササイズが満載です。 リラックスできる音楽と組み合わせて、心をリセットしましょう。
ところが、いつまで経っても次の画面になりません。コントローラーを色々と操作するのですが、何も起きません。
そこで、後ろを振り返ってみると...次の画面がありました!
このエクササイズでは、次のことに注意してください。
- 画面上のオブジェクトに集中し、両目を開けたまま頭を動かさないでください。
- オブジェクトが動いたら、それにピントを合わせたまま追ってください。
- 集中力を維持するのに役立つバックグラウンドミュージックの音量を、開始前に調整してください。
- 開始するには (A) ボタンを押してください。
- 戻るには (B) ボタンを押してください。
......App Labのアプリとして納得してするしかありませんが、有料アプリなのでクレームは送っておきます。
このまま使いづらいのであれば、後方画面を正面に切り替えます。
- 後ろ画面を見つめたまま、右コントローラーの⸦⸧ボタンを長押しします。
- または、設定から「正面をリセットする」を選択します。
トレーニングについて
(A)ボタンでスタートとすると、8つのエクササイズのメニューが表示されます。
それでは、それぞれのトレーニング(エクササイズ)について説明をします。
①のエクササイズ
このエクササイズでは、次のことに注意してください。
- 両目を開けたまま頭を動かさないでください。
- 物体が動いたら、眼を収束させたり発散させたりしながら追ってください。
- 集中力を維持するのに役立つバックグラウンドミュージックの音量を、開始前に調整してください。
- 開始するには (A) ボタンを押してください。
- 戻るには (B) ボタンを押してください。
緑色の円柱のオブジェクトが近づいたり離れたりしますので、それにしっかりとピントを合わせるよう数分間頑張ります。
毛様体筋を鍛えるトレーニングです。
②のエクササイズ
このエクササイズでは、次のことに注意してください。
- 両目を開けたまま頭を動かさないでください。
- 赤い球体に集中してください。
- 集中力を維持するのに役立つバックグラウンドミュージックの音量を、開始前に調整してください。
- 開始するには (A) ボタンを押してください。
- 戻るには (B) ボタンを押してください。
画面上の赤色のボールが弾んで跳ねています。頭を動かさずに、眼の動きだけで赤色のボールを追いかけてください。
外眼筋のトレーニングですね。
③のエクササイズ
このエクササイズでは、次のことに注意してください。
- 画面上のオブジェクトに集中し、両目を開けたまま頭を動かさないでください。
- オブジェクトが動いたら、それを眼だけを動かして追ってください。(眼の筋肉を伸ばすイメージで)
- 集中力を維持するのに役立つバックグラウンドミュージックの音量を、開始前に調整してください。
- 開始するには (A) ボタンを押してください。
- 戻るには (B) ボタンを押してください。
この視野の端から端を移動する緑のボールを目で追う外眼筋のトレーニングです。
メタクエスト2では、視野角が狭く視野端のボールが見えないため、メタクエスト2では、このエクササイズは満足できない状況です。
④のエクササイズ
このエクササイズでは、次のことに注意してください。
- 画面上のオブジェクトに集中し、両目を開けたまま頭を動かさないでください。
- オブジェクトが動いたら、それを眼球だけを動かして追ってください。(目の筋肉を伸ばすイメージで)
- 集中力を維持するのに役立つバックグラウンドミュージックの音量を、開始前に調整してください。
- 開始するには (A) ボタンを押してください。
- 戻るには (B) ボタンを押してください。
このエクササイズも③と同じように視野を大きく移動する緑色のボールを目で追う外眼筋のトレーニングです。
メタクエスト2では同じ理由で、満足なトレーニングになりませんでした。
⑤のエクササイズ
このエクササイズでは、5枚の立体視画像が登場します。
- 鼻先の先端を見るように目を寄せ (寄り目)、右目は左側の写真、左目は右側の写真に焦点を合わせてください。
- しばらくすると、目の焦点がずれることで脳がだまされ、2つの写真の間に3つ目の画像が見えるようになります。この3つ目の表示されるコンテンツは立体視3D画像です。
- いつもどおり、両目を閉めずに頭を動かさないでください。
- 集中力を維持するのに役立つバックグラウンドミュージックの音量を、開始前に調整してください。
- 開始するには (A) ボタンを押してください。
- 戻るには (B) ボタンを押してください。
右の写真を左目で、左の写真を右目で見るようにします。寄り目になりますがそのままの状態を維持すると、両方の写真の真ん中に立体的な写真が浮かんで見えます。
これはマジカルアイと呼ばれる立体視トレーニングです。VRでなくても、このエクササイズは行えます。
上の画像でも同様に立体視を体験できますので、ぜひチャレンジしてみてください。
⑥のエクササイズ
ご存知の通り、目は光量に合わせてピントを調節します (accommodate)。このエクササイズでは、暗闇から明るさへ、そしてその逆へ、ピントを合わせる際の眼の筋肉を鍛えます。
- 常に両目を開けたまま頭を動かさないでください。
- 集中力を維持するのに役立つバックグラウンドミュージックの音量を、開始前に調整してください。
- 開始するには (A) ボタンを押してください。
- 戻るには (B) ボタンを押してください。
このトレーニングは、徐々に暗くなったり明るくなったりする光の刺激を視覚に与えることで、眼の適応力を鍛えるものです。
⑦のエクササイズ
このエクササイズは、昔からあるトレーニング方法です。
- 様々な向きや大きさの文字を読んでください。
- 常に両目を開けたまま頭を動かさないでください。
- 集中力を維持するのに役立つバックグラウンドミュージックの音量を、開始前に調整してください。
- 開始するには (A) ボタンを押してください。
- 戻るには (B) ボタンを押してください。
アルファベットと数字がゆっくり近づいて離れていきます。これを並び順に読んでいくのでも、A~Z順に読んでいくのでも、0~9順に読んでいくのでも、とにかく近くと遠くにピントを合わせる訓練です。また文字から文字へ目を素早く動かすので外眼筋のトレーニングにもなります。
⑧のエクササイズ
このエクササイズでは、片方の目ずつ鍛えます。
- 様々な向きや大きさの文字を、片方の目ずつ読んでください。
- 常に両目を閉めずに頭を動かさないでください。
- 集中力を維持するのに役立つバックグラウンドミュージックの音量を、開始前に調整してください。
- 開始するには (A) ボタンを押してください。
- 戻るには (B) ボタンを押してください。
⑦のエクササイズを片眼づつ行います。
まとめ
近視の原因の一つとして、長時間にわたり近くのものを見続けることによる眼の筋肉の緊張が挙げられます。
視力回復トレーニングは、この緊張した筋肉を鍛え、ほぐすことで、近視の改善を目指すものです。
従来、視力回復トレーニング機器は高額で、一般家庭での利用は困難でした。
しかし、VR技術により、医療機関のようなトレーニングを手軽かつ低価格で実現できるようになりました。
今回ご紹介したメタクエスト用アプリ「FREE MY SIGHT」は、8つの効果的なトレーニングメニューを収録しており、ご自宅で簡単に視力回復トレーニングに取り組むことができます。
正直なところ、「FREE MY SIGHT」は視力回復トレーニングアプリとしてはまだ発展途上だと感じています。
トレーニング内容は従来のものと大差なく、VRならではの革新性には欠けると言えるでしょう。
また、8つのエクササイズが用意されているものの、これらのエクササイズを組み合わせたトレーニングプログラムに関する説明やマニュアルは一切ありません。
ユーザー自身でトレーニングプログラムを組み立てていく必要があります。
今後のアプリの改善に期待しています。
おわりに
私がメタクエストを使っていて思うことは、VRは目にとって優しいのではないかということです。
なぜならメタクエストなどのVR機器を装着するとそこに広い空間が広がっています。
VR内での主な活動は、VRゲーム、VRChat、VR動画など、全て3D空間で行われるため、デスクワークのように近くのものを長時間見続ける必要がありません。これは、野外活動のような目の使い方に近いと言えます。
例えば、有名なVRゲーム「Beat Saber」では、遠くから飛んでくるキューブを手元のライトセイバーで切っていくのですが、このときの目の使い方は、野外でのボール遊びと同じように、遠くのものに焦点を合わせ、素早く動き回るものを目で追いかけるという動きになります。
Beat Saberのデモ版をプレイしてあまりの面白さに、思わず有料版を購入しました。
デスクワークで目が疲れて体がこわばっていたときに、Beat Saberで遊ぶと、目と体がスッキリします。
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実際に、メタクエストを外した後にピントが合わなくなるようなぼやけ感を感じることもありません。これは、VR空間での自然な目の使い方が、眼の筋肉への余計な緊張を与えないからではないでしょうか。
今後、VRでの活動に関する研究がさらに進み、体を使ったフィットネスと同様に、目のためのフィットネスアプリも続々と登場していくことでしょう。
メタクエストなどのVR機器がさらに手軽に利用できるようになれば、子どもたちの仮性近視の視力回復トレーニングをアプリで積極的に行うことが可能になるかもしれませんね。
「Meta Quest 3」の廉価版モデルとして、「Meta Quest 3S」が販売されています。
レンズ部のみ旧機種「Meta Quest 2」と同等のものを採用することで価格を抑えつつ、その他の性能は「Meta Quest 3」とほぼ同等です。
そのため、レンズを通して見える手元の文字の鮮明さに若干の差が生じますが、VR体験全体としては、両モデルでほぼ同等の使用感が得られます。
メタクエスト購入時には、3,000円分のストアポイント付与をお忘れなく!
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